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 ★ヒナウタ★


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hinautamemo

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平成29年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

堀恵作品

書き出しで川とおもえる小説の水はわたしを魚に変える     堀 恵

【評】
何とも不思議な入り方の歌である。
小説の冒頭に水の描写があったのだろう。
作中主体はそれを「川」だと、なぜか確信している。
読者(作中主体)と文章との間に、目に見えない交歓があるようだ。
小説への愛着を感じる。
下の句では、ひとが物語の世界へと没頭していく瞬間がうまく表されている。
 


すこやかに季節を迎えてきたのだろう朴の版木の木目涼しく     同
                   季節(ルビ:とき)

【評】
下の句まで読んで初めて、歌意のわかる一首。
朴の版木の木目の美しさに目をやり、そこから、幾十年幾百年もの時間の重さと、朴の樹が健やかに枝葉を伸ばしていった姿に思いを馳せている。
日本文化に根ざしたアニミズム的感性を感じる。
「すこやかに」「涼しく」といった修飾語の選び方に力量を見た。
 


床下に収納庫という埋葬の場所をもちたりジャムの空き瓶     同

【評】
「埋葬の場所」という比喩が言い得て妙。
ジャムの瓶には愛らしいものもあり、いつか何かに使おうと寄せておくのだが、一旦床下の収納庫に仕舞ってしまうと、なかなか再利用の機会は巡ってこないものだ。
暗く涼しい閉所である点と、安息の場所であるという点とで、この比喩はまさに適切であろう。

堀恵自選二十首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:59 | comments(0) | - |