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平成29年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

岸谷潤子作品

想い出の欠片はひかり 夏空を見上げて君は過去に乗り降り    岸谷潤子

【評】
夏の日差しが眩しい相聞歌。
「君」とは恋人のことだろう。
隣にいる恋人は青空を見上げて、何やら感慨にふけっている。
きっと自分と出会う以前の夏の思い出を反芻しているのだ。
それを「過去に乗り降り」と表現したところに、作者の感性のきらめきを見た。
その横顔を見つめるしかない作中主体を思う。
 


日傘から見え隠れするうなじには行く夏の影 ぐらじおらす     同

【評】
女性の後ろ姿であろう。
うなじにかかる影は、日傘のレース模様とも、透かして届く街路樹の葉陰とも想像できる。
それを「夏の影」と抽象的に表現したところが、歌に奥行きを生んだ。
結句「ぐらじおらす」は、ひらがな表記の選択と字足らずの効果とが相まって、なにやら呪文めいて聞こえてくる。


 
牡丹雪の舞い散る景色を見つめおり我はゆらぎぬ季節の淵に     同
                   牡丹雪(ルビ:ぼたゆき)
【評】
深い静けさの漂う一首となった。
冬の終わりと春の始まりという時期を「季節の淵」と表し、その際(きわ)に作中主体は立ち、なおかつ揺らいでいるという。
どこか危うげな心境を思わせる。
はらはらと牡丹雪の舞う美しい情景との対比により、さらに孤独感が高まるように感じた。

岸谷潤子自選三十五首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:53 | comments(0) | - |