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 ★ヒナウタ★


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hinautamemo

平成30年4月詠草
ふくろう歌会/4月詠草(佐藤羽美選)

笑顔とはシアワセを呼ぶ魔法なり気にして笑うほうれい線を    岸谷潤子

このごろは夢の中にて名を呼ばれ目覚めてなおも声のただよう    香坂靖子

庭先を一日三度掃除せり夕暮れ時は春塵パーティー    小林佳代

この姓を書くのもこれが最後だと止め跳ねはらいに気をつけてみる   佐藤ことり

減反の田の草むらに野生の眼 つかの間煌めき闇に消えたり    白乃 真

スマホみる少女の肩は日射し溜め電車は春の郊外をゆく    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 18:22 | comments(0) | - |
平成29年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

堀恵作品

書き出しで川とおもえる小説の水はわたしを魚に変える     堀 恵

【評】
何とも不思議な入り方の歌である。
小説の冒頭に水の描写があったのだろう。
作中主体はそれを「川」だと、なぜか確信している。
読者(作中主体)と文章との間に、目に見えない交歓があるようだ。
小説への愛着を感じる。
下の句では、ひとが物語の世界へと没頭していく瞬間がうまく表されている。
 


すこやかに季節を迎えてきたのだろう朴の版木の木目涼しく     同
                   季節(ルビ:とき)

【評】
下の句まで読んで初めて、歌意のわかる一首。
朴の版木の木目の美しさに目をやり、そこから、幾十年幾百年もの時間の重さと、朴の樹が健やかに枝葉を伸ばしていった姿に思いを馳せている。
日本文化に根ざしたアニミズム的感性を感じる。
「すこやかに」「涼しく」といった修飾語の選び方に力量を見た。
 


床下に収納庫という埋葬の場所をもちたりジャムの空き瓶     同

【評】
「埋葬の場所」という比喩が言い得て妙。
ジャムの瓶には愛らしいものもあり、いつか何かに使おうと寄せておくのだが、一旦床下の収納庫に仕舞ってしまうと、なかなか再利用の機会は巡ってこないものだ。
暗く涼しい閉所である点と、安息の場所であるという点とで、この比喩はまさに適切であろう。

堀恵自選二十首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:59 | comments(0) | - |
平成29年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

佐藤ことり作品

おはようの声のふわふわ立ちのぼり冬の朝日に学生集う     佐藤ことり

【評】
冬の寒い早朝。
交差点であろうか、コンビニの前であろうか。
学生達が集まっている。
白く立ち上る吐息を、あえて「吐息」と書かずにうまく表現した。
「ふわふわ」というオノマトペは、吐息の様子と同時に、学生の若さや楽しそうな雰囲気まで伝えてくれるようだ。
下の句の収め方も簡潔で清々しい。
 


それぞれの家庭模様が詰められたカゴの中身がスキャンされてく     同

【評】
鋭い社会詠となった。
買い物カゴの中身を見ることで、その家庭の晩ごはんの献立を知れるというのはよく耳にする話であるが、この一首ではさらに一歩踏み込んで、家族の人数や経済状況など、「家庭模様」まで映し出しているという。
「スキャン」という一語には、情報管理社会に対する批評が込められている。
 


教科書の隅の小さなロケットはパラパラパラと飛び立っていく     同

【評】
二次元から三次元に空想が飛躍する、伸びやかな一首となった。
第四句「パラパラパラと」は、紙そのものの捲られる音と、実際のロケットが打ち上げられるときに氷が剥がれ落ちる音の、両方に掛かっているように思う。
空へと飛んでいく「小さなロケット」は、若者達の未来そのものなのかもしれない。

佐藤ことり自選二十首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:56 | comments(0) | - |
平成29年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

岸谷潤子作品

想い出の欠片はひかり 夏空を見上げて君は過去に乗り降り    岸谷潤子

【評】
夏の日差しが眩しい相聞歌。
「君」とは恋人のことだろう。
隣にいる恋人は青空を見上げて、何やら感慨にふけっている。
きっと自分と出会う以前の夏の思い出を反芻しているのだ。
それを「過去に乗り降り」と表現したところに、作者の感性のきらめきを見た。
その横顔を見つめるしかない作中主体を思う。
 


日傘から見え隠れするうなじには行く夏の影 ぐらじおらす     同

【評】
女性の後ろ姿であろう。
うなじにかかる影は、日傘のレース模様とも、透かして届く街路樹の葉陰とも想像できる。
それを「夏の影」と抽象的に表現したところが、歌に奥行きを生んだ。
結句「ぐらじおらす」は、ひらがな表記の選択と字足らずの効果とが相まって、なにやら呪文めいて聞こえてくる。


 
牡丹雪の舞い散る景色を見つめおり我はゆらぎぬ季節の淵に     同
                   牡丹雪(ルビ:ぼたゆき)
【評】
深い静けさの漂う一首となった。
冬の終わりと春の始まりという時期を「季節の淵」と表し、その際(きわ)に作中主体は立ち、なおかつ揺らいでいるという。
どこか危うげな心境を思わせる。
はらはらと牡丹雪の舞う美しい情景との対比により、さらに孤独感が高まるように感じた。

岸谷潤子自選三十五首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:53 | comments(0) | - |
平成28年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

堀恵作品

夏の駅 待合室でその膝にのせる人まつ椅子の夕暮れ     堀 恵

【評】
駅の待合室の椅子を擬人化して主役とした一首。
初句から第四句までの描写を「謎」として、結句でその謎解きをするという構成が巧い。
映画のストップモーションのように時間は止まり、夏の夕日が窓から差し込むだけの閉じられた待合室があるのみで、そこでは作者の気配すら失われているようだ。


 
真夜中にサランラップを引き出せば湖面のごとく艶めいており     同

【評】
何気ない日常のふとした瞬間に詩情を見出している。
皿にサランラップをかぶせようとする、ごくありふれた情景であるが、「湖面のごとく」という比喩によって、世界が妖しく一変した。
台所から遥か遠く、真夜中の湖の静寂へと視点を飛躍させることによって、一首に奥行きが生まれた。



雪上に靴底の模様うつくしく遺す人いる図書館の前     同

【評】
きっと新雪なのだろう。
冬靴の靴底の模様というのは、確かに幾何学的であったり、紋章のようでもあると思い出させてくれる。
「遺す」という漢字の選択や、「図書館の前」という舞台の設定により、単なる靴底の型が、まるで考古学の遺跡のような感覚を覚えて興味深い。

堀恵自選三十首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:49 | comments(0) | - |
平成28年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

佐藤ことり作品

爽やかなインクの匂いかぎながらゆっくり開ける初版の扉     佐藤ことり

【評】
瑞々しい一首。
新しい物語や知識に触れるときの胸の高鳴りを伝えている。
誰しもが経験したことがあるであろう感覚を、真新しいインクの匂いという嗅覚に集約した点が成功している。
結句の「扉」という比喩が、今まさに物語の世界へ分け入っていこうとしている瞬間をうまく表現している。


 
自転車が右に左に影つくり暑い昼間に登り切る坂     同

【評】
若々しい勢いのある一首。
「右に左に影つくり」という表現で、どれほどの勾配の坂であるかが想像される。
季節は明記されていないが、きっと夏の盛りであろう。
そして、作者は青春を生きている。
自転車と作者の影は、白雲を抱く青空を背景に、坂道に濃くくっきりと落とされているのだ。


 
青空にあなたの乗った飛行機のあとを追いかけ一本の雲     同

【評】
清清しい相聞歌となった。
恋愛をテーマとした歌では、作者の内面の熱量が打ち出されることが多いが、この一首では飛行機雲に恋心が仮託されており、一読、爽やかな印象を残す。
飛行機のあとをまっすぐに伸びる飛行機雲は、そのまま、二人の関係性の率直さを表しているのだろう。

佐藤ことり自選二十五首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:45 | comments(0) | - |
ふくろう歌会ご案内
短歌の初歩からたのしく学ぼう
【ふくろう歌会】

・実作をとおして、作歌の力と批評力を培います。
・秀歌を取り上げながら、短歌のツボを解説します。
・新人賞受賞作など注目作品を鑑賞し、現在の歌壇の動向を学びます。

主宰・佐藤羽美
場所・青森市西部市民センター
   ・青森市中央市民センター

青森市にお住まいでご興味のある方は、お気軽にご連絡ください。
ちなみに、「ふくろう」は青森市の「市の鳥」です。
| ふくろう歌会 | 14:03 | comments(0) | - |