Back
 ★ヒナウタ★


歌集
Categories
Links
Favorite
 c3photo
Recent Entries
Recent Comments
Archives
Profile
Wall Paper

hinautamemo

平成30年12月詠草
ふくろう歌会/12月詠草(佐藤羽美選)

軒下の雪は屋根へと積み上がりフードの中から雀そろりと    岸谷潤子

暗き朝二羽の白鳥飛び去りて空に吸わるる鳴き交わす声    香坂靖子

九十二歳に派手かと思うブラウスを母は纏いて聖母に見ゆる    小林佳代

アンテナの整備不足で今回も受信出来ずに終わる恋愛    佐藤ことり

タンポポはバレリーナのごとひれ伏して十一月の雪に埋もれぬ    白乃 真

ゆるめればまん丸という素直さの輪ゴムで菓子のふくろをふさぐ    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 18:01 | comments(0) | - |
平成30年11月詠草
ふくろう歌会/11月詠草(佐藤羽美選)

旅人のカメラの先に眼をやれば街の新たな表情を見つけぬ    岸谷潤子
※ルビ:表情(かお)

八甲田ロープウエイの秋日和 両手でつつむ陸奥湾のまち    香坂靖子

諍いのこの雰囲気はギザギザのナイフの森を歩める如し    小林佳代

つやめいた紅葉をゆらし降りてきて雫はそろり朝の川へと    佐藤ことり

リヤカーを子らと押しける秋の日を義母は見けんや遠き目の先    白乃 真
※ルビ:義母(はは)

深山を駆け抜けるとき山伏は犬の姿で見え隠れする    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:38 | comments(0) | - |
平成30年10月詠草
ふくろう歌会/10月詠草(佐藤羽美選)

引き寄せの法則というらし壁に貼る新築一戸建ての切り抜き    岸谷潤子

思い出を一つ増やして提灯の蛇腹に浮かぶ名所旧跡    香坂靖子

夕映えに揺るる鬼灯ながむれば昭和の風が庭を過ぎゆく    小林佳代

白鳥になって彼女は飛び立った 水平線のはるか向こうへ    佐藤ことり

さざめきて百日紅の道歩みゆく卵のごとく訛なき娘ら    白乃 真
※ルビ:娘(こ)

店先の色よい丸み手にとって小さな欲は柿をくらべる    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:37 | comments(0) | - |
平成30年9月詠草
ふくろう歌会/9月詠草(佐藤羽美選)

この夏の空の名残りを押し上げて蜻蛉の羽根の力こぶあり    岸谷潤子

夢とうつつの分けたるところその際に佇むひとの紡げるはなし    香坂靖子

断捨離したる鞄の中のバスカード 幾年そこで冬眠せしか    小林佳代
※ルビ:幾年(いくとせ)そ

鬼が火を放ったような西の空 飛び立つ鳥の輪郭の濃く    佐藤ことり

丸い背の小さき父を旧盆に残して都会の雑踏をゆく    白乃 真
※ルビ:都会(まち)

涼しさに家事の手を止め深々とひと夏分のため息をつく    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:37 | comments(0) | - |
平成30年8月詠草
ふくろう歌会/8月詠草(佐藤羽美選)

公園の樹々の葉蒼く濃くなれば陰影深まる夏の横顔    岸谷潤子

罐焚きの父の姿の在りし日よ変わることなく青森駅は    香坂靖子

花弁を大きく広げ吾を待つユリ鮮やかに朝露の中    小林佳代

トクントクンと言葉の波が打ち寄せて画面は君でいっぱいになる   佐藤ことり

逞しきDyDoの男は自販機に涼を補充す真夏とともに    白乃 真
※ルビ:男(ひと)

弁当のおかずのかげに笹の葉を模した切れはし 小さな緑地    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:36 | comments(0) | - |
平成30年7月詠草
ふくろう歌会/7月詠草(佐藤羽美選)

ハードルを伸びきる脚で越えてゆく日射しを浴びたイルカのように   岸谷潤子

電車が開いて人の湿気の昇りくる梅雨の晴れ間の東京駅は    香坂靖子
※ルビ:開いて(あいて)

ゆうるりと暮れゆく初夏の風うけて白き芍薬ゆらゆらゆらと    小林佳代

満ち足りた湯気の向こうに甥っ子のほっぺのような蒸しパン並ぶ    佐藤ことり

プールより上がりし子らの清き脚は進化形なり人魚の尻尾の    白乃 真

身体からしたたる雫のそれぞれが夏の景色を映して崩れる    堀 恵
※ルビ:身体(からだ)

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:36 | comments(0) | - |
平成30年6月詠草
ふくろう歌会/6月詠草(佐藤羽美選)

霧雨のシャワーに街はナニモカモ白く煙らす淡き六月岸    谷潤子

懐かしき名前を聞きてあかあかと顔の火照りの埋火のあり    香坂靖子
※ルビ:埋火(うずみび)

住む世界違える君に見えますか故郷の川も一本橋も    小林佳代

空高くイカロスみたいに飛び立った あの子の白い体操靴は    佐藤ことり

角巻きに淡雪まとい白鷺のごと羽ばたきし十七歳の母    白乃 真
※ルビ:十七歳(じゅうしち)

初夏の畝の清しさ 青葱はあかるき中空みな立ちており    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:35 | comments(0) | - |
平成30年5月詠草
ふくろう歌会/5月詠草(佐藤羽美選)

臨月の身体を運ぶ車椅子新たな命の重さものせて    岸谷潤子

幼き日父の背中に字をなぞり繰り返しては背に眠りおり    香坂靖子

病む母の歩幅に合せ歩みゆく 凍てつく空に細き月あり    小林佳代

葉桜の影が濃くなる午後一時 スタート告げるピストルの音    佐藤ことり

雪解けの細かくやわき霞吸いアスパラガスは地を突き破る    白乃 真

パイプ椅子地上に墜ちた鳥なのか翼をたたみ暗きに立てり    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 17:31 | comments(0) | - |
平成30年4月詠草
ふくろう歌会/4月詠草(佐藤羽美選)

食卓で頬を寄せ合う記念日はしあわせ色のグラスをかさね    岸谷潤子

このごろは夢の中にて名を呼ばれ目覚めてなおも声のただよう    香坂靖子

庭先を一日三度掃除せり夕暮れ時は春塵パーティー    小林佳代

この姓を書くのもこれが最後だと止め跳ねはらいに気をつけてみる   佐藤ことり

減反の田の草むらに野生の眼 つかの間煌めき闇に消えたり    白乃 真

スマホみる少女の肩は日射し溜め電車は春の郊外をゆく    堀 恵

ふくろう歌会では、題詠一首と自由詠二首の計三首を宿題としています。
隔週二回の開催なので、月に六首つくっていただいています。
| ふくろう歌会 | 18:22 | comments(0) | - |
平成29年度まとめ
ふくろう歌会では、年度末のまとめとして、一年間に詠んだ作品からおよそ三分の一を自選してもらい、そのうち三首に私が歌評をつけています。

堀恵作品

書き出しで川とおもえる小説の水はわたしを魚に変える     堀 恵

【評】
何とも不思議な入り方の歌である。
小説の冒頭に水の描写があったのだろう。
作中主体はそれを「川」だと、なぜか確信している。
読者(作中主体)と文章との間に、目に見えない交歓があるようだ。
小説への愛着を感じる。
下の句では、ひとが物語の世界へと没頭していく瞬間がうまく表されている。
 


すこやかに季節を迎えてきたのだろう朴の版木の木目涼しく     同
                   季節(ルビ:とき)

【評】
下の句まで読んで初めて、歌意のわかる一首。
朴の版木の木目の美しさに目をやり、そこから、幾十年幾百年もの時間の重さと、朴の樹が健やかに枝葉を伸ばしていった姿に思いを馳せている。
日本文化に根ざしたアニミズム的感性を感じる。
「すこやかに」「涼しく」といった修飾語の選び方に力量を見た。
 


床下に収納庫という埋葬の場所をもちたりジャムの空き瓶     同

【評】
「埋葬の場所」という比喩が言い得て妙。
ジャムの瓶には愛らしいものもあり、いつか何かに使おうと寄せておくのだが、一旦床下の収納庫に仕舞ってしまうと、なかなか再利用の機会は巡ってこないものだ。
暗く涼しい閉所である点と、安息の場所であるという点とで、この比喩はまさに適切であろう。

堀恵自選二十首はこちら 
| ふくろう歌会 | 17:59 | comments(0) | - |